電流源とは何か(内部抵抗無限大の意味は)

電流源(定電流源)とは何なのでしょうか?
「電圧源は電圧を発生させる回路であり、電流源は電流を発生させる回路である」というわけではありません。 両方とも電圧を発生させているだけです。


電流源の概念
 まず全ての基本となる事は、
電圧発生の結果として電流が流れるという事です。主従関係は必ず電圧>電流です。
従って、電圧源も電流源も、制御するパラメータは必ず電圧です。
どんな電源でも、内部では必ず「電圧」を発生・調整する構造になっています。

「電圧源」「電流源」の違いはモニターするパラメータだけです。

電圧源:電圧をモニター⇨電圧を調整して目標電圧値に誘導
電流源:電流をモニター⇨電圧を調整して目標電流値に誘導
     
    電圧源            電流源 


電圧源を電流源として使えないのか
 負荷が変動しなければ使えます。目標の電流値になる電圧を割り出して、その電圧値を設定固定すれば良いだけです。しかし、現実の回路は負荷が変動します。ですので電流値をモニタして、変化する負荷に追従して一定電流を出力し続ける定電流源を使うしかないのです。

負荷が変動したら出力電圧・電流は変化するのです。
電源が一定電圧を出し続けている時、電源内部は静的な状態にあるように見えますが、
実際は、負荷の変動に応じて出力電圧を変化させ、一定電圧を維持させています。
電流源も同じです。

綱引きで考えると、綱が動かない状態(力の均衡が保たれてる状態)では、左右の引っ張る力は同じです。 しかし、相手が強く引いてきたら、こちらも強く引かなければならないし、逆に緩めてきたらこちらも緩める必要があります。 綱が動いていないので、何の力の調整もしていないように見えますが、均衡を保つためには相手の変化(引っ張る力)と同じ変化を自分もしなければならないのです。つまり電流源も負荷の変動に合わせて電圧を動かさないと、
定電流を維持できないのです。


電流源の内部抵抗
 電流源回路の内部を説明する表現で、内部抵抗が高い(無限大)という説明があります。しかし、それは電流源の概念を説明するためで、実際の回路がそうなっている訳ではありません。負荷が変化しても電流は変化しないという概念を理想回路として表現しているだけです。
             

                                     定電流源回路

例として、定電流源から10Aが供給されている負荷が存在するとします。
内部抵抗1Ω、負荷も1Ωだとします。負荷側には5Aが流れますが、ここで負荷が2Ωに変化した場合、負荷電流は3.33Aに減ってしまいます。5Aが3.33Aになってしまうので、これでは電流源としては使えません。 
次に内部抵抗を1kΩとします。 この条件で同じく考えると、負荷1Ωで9.99A、負荷2Ωでは9.98Aでほぼ差が無くなります。内部抵抗を更に高くすれば両者の差はほぼ0つまり、負荷変動に対して電流変化は0という事になります。(負荷変動しても電流値は安定する)
このように、内部抵抗は負荷に対して十分大きければ良いだけで、この例では1kΩでも十分
と言う事になります。 内部抵抗無限大の意味は、どんな負荷に対しても成立させる為の条件に過ぎません。

理想回路は、フィードバック回路無しで負荷変動に対し電流が安定する様を表していますが、実際は電流値をフィードバックし、それを見ながら電圧調整をして電流を安定させています。

この記事は私のNOTEに記載したものを基に再編しました。

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