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電子回路における動的平衡の重要性

身の回りには、止まって見えていても実は動いているものが多くあります。静止させる為に動かしているといった方が正確かもしれません。 この場合の「動かす」は移動の意味ではなく、力が働いているという意味です。 綱引きは、力が均衡(平衡)している(釣り合っている)と静止するわけです。しかし力が何もかかって無くても静止します。 重要なのは、 その静止状態が何も力が働いてなくそうなっているのか、力が均衡してそうなっているのかという事です 。 タイトルに示した動的平衡という言葉は色々な意味で使われますが、総じて言えば、常に動いているもの同士が全体としてバランスがとれて均衡が保たれている状態の事です。 これは電子の世界にも当てはまると思います。 代表例としては電源があります。電池などはそれに当てはまらないかもしれませんが、回路として組まれた電源は全て該当します。 定電圧源であれば一定電圧を出し続ける場合、電圧値が変わらないので何も動いていないと感じてしまいます。(ここで言う「動いていない」は、staticの意味です)。 例えばポテンショメーターのように分圧で電圧値を決めて、その設定を維持し定電圧を出続けるようなイメージです。 しかし、実際はそうではなく、負荷変動によって起こる電圧変動を抑える為に、常に電圧を変化(調整)させています。綱引きで例えれば、相手が引く力が常に変動していて、それに合わせてこちらが引く力も調整し、綱が動かないようにしています。 制御されている電圧(電流)は、すべてこの原理に従っています。 そしてこれは、電源をはじめとした フィードバック回路系全てに当てはまります 。 フィードバック系を大雑把に表現すると、目標値を境に行ったり来たりを常に繰り返す動作をするものです。 普通は、行ったり来たりの幅が限りなく小さい(≒0)ので、目標値に張り付いて静止している様に見えます。 しかし制御がうまくいってないと、この振幅が大きくなり発振しているように見えます。 動的平衡は電子回路を考える上でとても重要な概念だと思います。 蛇足ですが、電子以外に動的平衡が働いているものとして、電力、水道、恐らく都市ガス等もそうだと思います。 つまり使用量が時間帯によって変動するので、それに合わせて例えば水道であれば水圧を強めたり弱めたりして、蛇口から出る水圧を一定に保つわけです。 目次に戻る

定電流源がLEDを破壊する事があるようです

  ある記事 に書いてありましたが、電源を繋ぐ順番を間違えるとLEDが破壊される事があるらしいです。 「電源(AC100V等)➖定電流源➖LED」という構成を例にして説明しますと、「AC100V➖定電流源」が接続されている状態で、LEDを接続するとLEDが破壊する危険があるそうです。 つまり、定電流源の出力が出ている状態の所にLEDを繋ぐ動作、ある意味活線挿抜とも言える動作が良く無いようです。 故障を発生させない為には、定電流源とLEDを繋いだ後にAC100Vを繋ぐ必要があり、 また、定 電流 源ではなく定 電圧 源であれば、破壊はしないとの事です。  故障メカニズムについては  定電流源に溜まった電荷がLEDに流れこむ 為と書いてあります。今回は、その理由について推測しようと思います。 電荷がLEDに流れ込んで破壊すると言っていますので、通常の電流ではなく過電流が流れ込んだと考えられます。そして過電流が流れるのですから、過電圧が出力されている事が想定されます。条件的にそうなる事は当然で、定電流源は無負荷(オープン)状態ではMAXの出力電圧を出すからです。 なぜ無負荷でMAX電圧を出力するかは説明するまでもありませんが、定電流源は設定した電流を流す為に負荷抵抗に応じて出力電圧を調整するからです。 負荷抵抗が大きいほど出力電圧も大きくする必要があり、無負荷(抵抗∞)では振り切れるまで電圧出力する事になります。 その状態で負荷(LED)を繋ぎ込めば、LEDに過電圧が印加され破壊する可能性が出てくるわけです。 最大電圧にリミッタを設定できる機器も存在しますので、それを利用すれば破壊せずに済みます。 破壊理由の推定は以上ですが、ここで疑問を感じる方もいるかもしれません。定電流源だから電流を制御できるはずなのに、なぜ過電流を流してしまうのか? という疑問です。 理由は、この状態からは電流制御が効かないからです。 電圧源回路の出力段には平滑用のコンデンサが付いています。LED接続の瞬間、高電圧にチャージされた電荷がこのコンデンサから放電されるわけです。ですのでもう制御は効きません。 目次に戻る

仮想短絡のメカニズムは増幅率無限大とは関係ありません

 <はじめに>  オペアンプの負帰還回路が仮想短絡(イマジナリショート)になる原理の誤解について書きます。 仮想短絡になる原理は、オペアンプの増幅率が無限大であるからではありません。 <巷にある仮想短絡の説明内容>  仮想短絡のメカニズムの説明に、Vout=Av*{(Vin+) − (Vin-)} が使われる事があります。この式を変形し、Av=Vout/{(Vin+) − (Vin-)}となります。Av(増幅率)が無限大なので分母である(Vin+) − (Vin-)≒0、 つまりVin+=Vin- と言う理論です。 これ、一見なるほど分かりやすいと思ってしまいますが、本当に正いでしょうか。 Vout=Av*{(Vin+) − (Vin-)}は、オペアンプ単体の式です。Vin+とVin-は入力端子です。設定自由な 受動端子 です。 受動端子同士がお互い近づくって変じゃありませんか 。  受動端子は設定するものであり、勝手に動かないです。 あるとすれば、「Vin+とVin-に同じ位の電圧を印加した事が予想される」と言うだけで、能動的に同じになる事はあり得ません。 仮想短絡は オペアンプ単体で説明する事はできなく 、負帰還回路でないと説明できません。 つまり、Vin-がVoutからフィードバックを受けているからこそ、Vin-が能動端子となってVin+と同電圧になろうと動くのです。 Vin+は受動端子ですが、Vin-が能動端子となってVin+と同じになろうと動きます。 <参考までに>  話を戻して、 仮に Vout=Av*{(Vin+) − (Vin-)}で証明できるにしても重大な勘違いがあります。それはVoutの扱いです。 証明はVoutが飽和していない想定で考えていると思います。つまり振り切っていなく本当にその値が出力されていると言う想定です。例えばそれが5Vだとした場合、Av=Vout/{(Vin+) − (Vin-)}はAv=5V/{(Vin+) − (Vin-)}で、Av無限大なので、確かに (Vin+) − (Vin-)は5/∞と言う事で限りなく0に近くなります。 しかし、実際は飽和して(振り切れて)5Vになっているわけで、理論的にはVoutはもっと大きな値になるはずです。 ですのでVoutに現実値を入れて考えるのではなく理論値を入れて考える必要がありま...

活線挿抜による故障

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 <はじめに>   活線挿抜とは、 電源 を切らないまま コネクタ など を抜き差しする事です。よく家電製品で「電源を切ってからコンセントを抜いてください」のような注意書きがありますが、それとよく似ています。家電品が活線挿抜してはいけない理由は書いてないのでよくわかりませんが、開発や製造現場におけるコネクタの 活線挿抜は、 回路の故障原因 となります。 その場で故障してくれれば原因推定もやり易いですが、劣化だけで時差で故障に至った場合等は何がきっかけで故障したのか分からなくなります。 そして破壊痕からサージが原因と特定されますが、サージはどこかで異常電圧が発生しているという思い込みで調査することが多く、原因にたどり着けない場合があります。 活線挿抜による故障は、データ破壊などもありますが、ここではハード的な故障について書きたいと思います。 < 故障 のメカニズム>  活線挿抜で故障する 仕組みを知 るには、 回り込みの概念を理解する必要があります。 まず活線挿抜で起 きる現象の起点は、 各端子が同時に接触しない、つまり瞬時かもしれませんが時間差で接触する事です 。これは例えば、+電源が接続された時まだGNDが接続されてない状態ができる様な状態を意味します。 説明の為に一例を示します 下図の回路において、電源+、GND、入力 の3端子に注目します。 電解コンデンサは電源安定のバックアップ用、ツェナーダイオードはサージクランプです。 これが例えば検査機にコネクタで接続されているとします。この3端子が時間差で接続する瞬間の状態をスイッチで示しています。 電源+と入力端子が先に接続され、GNDはまだ接続されていない状態です。 入力はLo信号(=GND)が入っています。 この瞬間に何が起きるか考えますと、赤線の経路を電流がたどります。 GND端子がまだ接続されていないので、回路中のGNDラインに入った電流はGND端子へは向かわず、ツェナーダイオードを経由して入力端子から出て行きます。 この経路には抵抗が無く、電流を絞るものが無いため過電流によりツェナーダイオードが破壊される可能性があります。電流を絞るものが無いと言いましたが電解コンデンサはどうなのか? という疑問を持つ方もいるかもしれません。コンデンサにはコネクタを刺した瞬間に、I=C*(dv/dt)の電流が流れます...

チップLEDは不完全な負荷

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 <はじめに>  題名に「チップLED」と表現した意図は、LED照明のような内部に制御回路が入っている製品と区別したいからです。 素のLEDと言う意味です。この素子の使い方について、当たり前の 内容ではありますが、ダイオードの概念を理解する助けになればと思います。 <LEDが不完全負荷の理由>  チップLED(以下LEDと書きます)は、不完全な負荷と言えます。 一般的に、負荷は単体で電源に繋いで機能するものと言う概念がありますが、LEDは単体で電源に繋いだ場合、過電流破壊するか、点灯しないかです。(実際はVf付近の電圧で駆動できたり、電源の電流容量が小さければ壊さずに点灯させる事もできますが、今回は十分な電流容量の電源5Vを印加した場合を想定します) LEDは、通常は 抵抗を繋ぐか、定電流源で 使います。それは前述の通り過電流で破壊してしまうからです。 つまり 負荷でありながら抵抗成分か存在しない のです(勿論0ではありません)。 電力消費するのに抵抗成分が存在しない、これはダイオード全般に言える事です。電流を絞らないのでVf電圧を超えた瞬間の過電流で壊れる危険性があるのです。   回路動作と抵抗の関係には、無意識の内に下記のようなイメージを持ってしまいます。 (これはオームの法則が根底にあるからと想像します) 「 電圧降下の発生は抵抗の存在を意味する 」、「 エネルギー消費する物は抵抗成分を持つ 」 しかし、LED(ダイオード全般)には、この概念は当てはまりません。 <ダイオードのV-I特性>   下図(図1)のように、Vfを超えた瞬間にほぼ垂直に電流が立ち上がります。 もし目標電流にするために電圧で制御しようとすれば、Vf付近の狭い範囲で調整しなければいけません。 少し電圧を動かしただけで電流値は大きく変動します。しかも、個体毎に特性は微妙に異なるので、実質電圧制御は不可能という事になります。 ですので、抵抗を入れて(図2)電圧に対する電流変動を緩慢にさせて電圧制御できるようにします。                                      ...

GaN SiCが注目される理由(高効率パワーデバイス)

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<はじめに>  インバータ等に使うGaN、SiC等のパワーデバイス(パワートランジスタ)の進化がなぜ重要なのかを書きたいと思います。 ON /OFFだけのスイッチング素子なのに、なぜ効率化(省電力化)がそんなに重要なのか 。なお、GaN、SiCの特性等は書いてありません。また内容的には常識的な事ばかりですのでご了承下さい。 <制御手段の進化で効率化>  まずデバイスによる効率化の前に、制御方式による効率化の話をします。 駆動制御には大きく二つあります(ありました?)。「リニア方式」と「PWM」方式です。 PWMはインバータ制御とほぼイコールです。 リニア方式はもう殆ど使われていないかもしれませんが、両者の比較をする事は理解を深める事に繋がりますので簡単に説明します。 下図の左側がリニア方式です。リニア方式はトランジスタ(Tr)のゲート電圧(ベース電流)を制御する事により、 Trを可変抵抗のように機能 させる事で制御します。  一方PWM(Pulse Width Modulation)方式(下図右側)はゲート電圧(ベース電流)のパルスのデューティー比を変化させて制御します。パルスはTrのフルON /フルOFFどちらかの状態ですで、Trが中途半端な抵抗を持つ事なく制御されます。 ON/OFF信号で制御されていると言っても、モーターの動作がON /OFFすることはありません。モーターが追従できない速さでON /OFFさせているので、モーター回転速度の変化となって現れます。  基本的にTrのON及びOFF状態は電力を殆ど消費しません。ですのでPWM制御はTrが無駄な電力を消費する事のない効率的な制御手段と言えます。それに対しリニア方式はTrが無駄な電力消費をしてしまい非効率的と言えます。 場合によっては発熱で故障する可能性がある為、定格の検証を行なって適用します。 ( トランジスタのハーフオン故障 を参照) この様にPWM方式は効率的な制御方法ですが、スイッチングを高速で繰り返すことで僅かな 消費電力(スイッチングロス)も積み重なり無視できない量になります。 大電力を扱う装置は発熱し、EV(電気自動車)のインバータ等は水冷で熱対策するほどになります。また冷却の規模によっては装置が大型化してしまいます。(EVの場合はIGBTのテール電流が電力ロスの一要因にもなっていますが)。...

電子回路のフィードバック制御(負帰還)の仕組み

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<はじめに>  昔、ある実験のためにトランジスタ(Tr)に定電流を流す回路がありました。その回路図を見てもTrのゲートに何Vが掛かっているのか読むことができず、どうしてこんな適当で単純な回路でフィードバック制御が成立するのだろうと不思議に感じました。 きちんと勉強しなかった事がばれて恥ずかしい限りですが、もし同じように疑問と感じた人はぜひ読んでください。 フィードバック制御とは、目標通りになっているか常に結果をモニターし、ズレていれば修正する制御を言います。例えば暖房制御などは、起動時はフル出力させ目標温度に近づくにつれて段階的に出力を弱め到達したら止める。このようなきめ細かい制御プログラムもありますが(段階的に弱めないとオーバーシュートするので、決してきめ細かいわけではないかもしれませんが)、電子回路だけの世界では もっと単純なロジックだけで制御を実現させています。 <フィードバック制御の説明>  例として、1Aの定電流回路を考えます。(下図1) 負帰還の知識が無い想定で考えてみますと、Trのゲート電圧を何Vくらいにすれば電流を1Aに絞ることができるのかを考えてしまいます。Trのgm(相互コンダクタンス)を勘案してゲート電圧を決めます。そして、その電圧を基 本とし つつ、電流(電圧に変換)をモニタしてズレた分の修正する制御をしたくなります。                    (図1)  考え方として、どうしてもゲート電圧を決めたくなります。確かに決めなければいけないのですが、負 帰還回路のロジックを適用すればゲート電圧をある意味決めなくてもよくなります。 では、それについて詳しく説明します。 例として、オペア ンプを使った負帰還回路(下図2)について説明します。 負帰還回路は、フィードバック部(オペアンプ出力から-端子までの帰還経路)に抵抗が入ろうとトランジスタが入ろうと、それによって何かを変更する事なく直結したのと同じに成立します。(この場合はゲート電圧と電流の関係が正理論である事が前提)。 そして、この負帰還により「仮想短絡」状態になります。 仮想短絡とはオペアンプの+端子と−端子が同電位になろうとする動きです。 これはオペアンプの内部にその様なロジックがあるわけでなく、オペアンプ(=コンパレータ)の出力を−端子にフィードバックさせるだけで自然とこのような...

オペアンプの基本原理

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 <はじめに>  オペアンプの基本原理は非常に単純です。しかしオペアンプについて記述されているものの中には誤解を招く内容があり、それが理解を妨げている場合があるように思います。 その一つが、増幅がオペアンプICの内部で行われているようなイメージのものです。 増幅はオペアンプICの外で行われています。それを意識しながら増幅の原理を少しでも分かりやすく、簡単に説明したいと思います。 なお、以下、オペアンプIC単体を「オペアンプIC」、外付け抵抗を含めた回路全体を「オペアンプ回路」と記述します。 <理解するために必要な考え方>  無意識に考えてしまう思い込みが誤解の原因となりますので、まずありがちな思い込みを払拭する事が必要です。 個人的な推測ですが、ありがちな思い込みとして下記があます。 ①オペアンプICに入れた2つの入力信号の差を、外付け抵抗で決めた増幅率で増幅する。(×) ②オペアンプICの増幅率は無限大だが、外付け抵抗を付ける事により、その増幅率を調整する  ことができる。(×) これらは間違いです。 外付け抵抗で増幅率を調整している(決めている)の所だけを切り取ると間違ってはいませんが、その前に書かれている内容と組み合わせると間違いになります。 ①②はいずれも、オペアンプICの中で増幅している、という考え方です。 しかし、 オペアンプIC内で増幅を調整する事はしていません 。また重複しますが、外付け抵抗はオペアンプ ICの増幅率 を調整しているわけではありません。 ではオペアンプICの増幅率(Av)とは何なのでしょうか? これは後述します。 ここで必要な考えは、 「オペアンプIC」と「オペアンプ回路(システム)」の 動作を切り分けて考える という事です。 下図は、今説明した内容を図で表現したものです。 一番上の図:オペアンプIC単体の特性を表しています。増幅率は無限大ですので出力は振り切       れています。(オペアンプ回路構成にすると振り切らす中間値を出力する) 中間の図: オペアンプ単体が設定された増幅率で増幅を行っている。(×)        これは間違いです 一番下の図:外付け抵抗を構成する事で、分圧回路が増幅を行っている。オペアンプの役目は       あくまで仮想短絡のみ。(◯)        正しい考え方 <説明の流れ> オペアンプ回路...

「オペアンプは2つの入力の差を増幅する」は少し違う

  表題の「 」内の文言をあるところで見かけました。気になりましたので、これについて意見を書きたいと思います。屁理屈かもしれませんが、理解の妨げとなる可能性を秘めていると思います。 理解している人には許容できても、私の様な理解の遅い人にとっては細かな所がつまずきの原因となりますので、重要な問題だと思います。  まず、 オペアンプ(OP amp) 単体で 考えた場合、「2つの入力の差を増幅する」という表現は間違っている と思います。 確かに増幅はしますが、増幅率は無限大なのでHiかLoに張り付いてしまいます(飽和します)。即ち、入力の差がいくつであっても、それが1Vだろうが、0.1Vだろうが、0.0001Vだろうが、全てHかLになるだけです。 全部同じ結果になるものを増幅と呼ぶでしょうか? これはデジタル回路の入出力の関係と同じです。しきい値を少しても越えれば出力はHに、下まわればLに張り付きます。 しきい値と入力信号の差を、無限大に増幅しているわけです。 この「オペアンプは2つの入力の差を増幅する」は、オペアンプはそのような回路(システム)を組む為に使う、という意味で言っているのでしょう。 しかしオペアンプ単体が増幅させていると勘違いしてる人が沢山いるので、この表現はそれに拍車をかける事になります。 オペアンプは前述の通りコンパレータと全く同じですので、増幅という概念はありません。オペアンプは増幅機能を担うのではなく、仮想短絡を作り出す役目をしています。 そして仮想短絡と外付け抵抗の分圧の原理で増幅機能を作り出しています。 単体とシステムを切り分けず にごちゃ混ぜで説明してしまうと、 混乱する 人が続出します。   オペアンプの機能を大雑把に説明するとこうなるでしょうか。  ・オペアンプ単体の機能はコンパレータと同じである。  ・これを使って負帰還回路を構成する事で、仮想短絡(イマジナリショート)ができる。  ・仮想短絡を利用して、 2つの入力の差を増幅させる回路ができる   この場合の2つの入力とは、オペアンプ単体の入力端子のことではなく、オペアンプを使った増幅回路システムの入力の事です。 目次に戻る

電圧の本質

 電圧の大原則は、 二点間の差である という事です。電圧は「電位差」と「電位」に分けられます。 ・ 電位差: 任意の2点間の 差 ・ 電位:     アース(あるいは基準となる電圧)との 差 いずれにしても二点間の差 である事には違いありません。 「電位」と「電位差」の違いを理解する事は、電圧を理解する上で最も重要な事です 。 単なる定義の差ではなく概念としての差を理解する事が必要です。 例えば、二つの電源(No1、No2)がありそれぞれの+端子の電圧は10Vと20Vです。この端子同士を接続したらどうなるでしょうか? ショートする場合もありますが、ショートしない場合もあります。 電源No1の10Vは電位 差 を表しています。それは+と−端子間の 差 と言う意味です。 それは、山の標高に例えた場合、必ずしも標高10mと言ってるわけではありません。 麓が海抜40mの場所にある標高50mの山かもしれません。(差は10m) 同じくNo2も標高20mといってるわけではなく、麓が海抜30mの標高50mの山かもしれません(差は20m)。 であれば、No1とNo2の電位は両方とも50Vなのでショートは発生しません。しかし−端子を共通にした場合、+端子の電圧はそのまま直接比較できるので、10Vと20Vが接触した事になり、No1とNo2はショートを起こします。 このように、電位と電位差は同じものではないので、分けて考えないといけません。しかし、多くの場合、−端子は共通にしているので、電位と電位差を意識しなくても問題にならなく、この概念を認識できずにいる事があります。 絶縁体中での電圧の概念(電圧と位置エネルギーの相違点)  例えば絶縁体間の電圧を上げていくと最終的に絶縁破壊を起こし電流が流れます。一方で高度を高くしても物が落下しようとする力が強くなる事はありません。落下している物のエネルギーは大きくなりますが、 高度を上げたからと言って落下しようとする力 は変化しません。 ですので絶縁体の電圧は高度ではなく重量に似ています。 重量が重くなると橋が耐えられず崩壊するのは、電圧が高くなって絶縁破壊を起こすにのに似ています。 目次に戻る

電流の本質

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電流の本質と言っても、自由電子などのミクロな話ではありませんのでご了承ください。 電流の大原則は 電圧の結果として、電流が流れる という事です。 電圧と電流を同等に感じている人もいるかも知れませんが、主従関係は必ず「 電圧>電流 」です。 電流源(定電流源)などは、電圧と関係なく電流を発生させるメカニズムなのだと勘違いしそうですが、そんな事はなく電圧で電流を発生させている装置です。 詳しくは、 電流源とは何か  を参照して下さい。 経路が閉じていなければ電流は流れない 。 当たり前の事かもしれませんが、重要な概念です。 経路は一周して同じ所に戻って来なければなりません。 下図のような、プラスから出てマイナスに戻って来るだけでは電流は流れません。 電池1のマイナスと電池2のプラスを繋げば電流が一周できるので、その時はじめて電流が流れます。 電源も含めて 閉じた回路でなければいけません。 電流の過渡現象 過渡現象を考えなければならないのは、 コンデンサ と コイル です。 電圧に変化が無い場合(過渡状態でない場合)は、 コンデンサは絶縁体、コイルは普通の導線 と同等の動きになります。 ・コンデンサの電流 流せる電流の総和量が決まっていて、容量分しか流せない。 コンデンサ(誘電体)の中は自由電子の移動で電流が流れているのではなく、誘電体の電極の並び方の変化で電子が移動したのと同等の動きをしている( 変位電流 )。 ・コイルの電流 基本は導体なので普通の導線と同じ様に電流は流れるが、磁界(の変化)を受けると電流に変化が出る。直線の導線では発した磁界はどこにも影響を与えないが、コイル形状により隣接する導線からの磁界の影響を受ける。 電流と磁気  電流は磁界を作る源にもなる(起磁力)。 磁力を発生させる事によって電気エネルギーを機械エネルギーに変換できる。 磁界を媒体にして空間でエネルギー伝達ができる(電流→磁界→電流) 電流とエネルギー  電流が流れていないとエネルギーが出せない(負荷は電流が流れていないと動作しない)。 電圧駆動素子(MOSFET)は?  ・・・電圧で駆動しているのではなく、電圧で 状態を保持している だけ。 駆動時はゲート容量への充電(放電)行為が必要なので電流が必要。 電流の速度  ここを参照して下さい( 電子の速さは遅いのに 電流は速い理由 )...

モーター始動時の突入電流の理由(コイルは起動電流を阻止するはずなのに)

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<はじめに> コイルは始動電流を阻止するはずなのに、なぜモータは突入電流が流れるのか? という疑問について書きたいと思います。 結論から言うと、まず突入電流にみえている電流はコイル単体の特性が出ているだけで、その後の電流が小さくなるから大きく見えているだけです。 この突入電流に見える電流は、本来その後もずっと流れ続けるはずのものですが、モータの回転につれて電流が減少する為に、始動時の電流だけが突出して見えるだけです。 モータ特性全体をコイルの特性と思って見てしまうから「なぜ始動電流は絞られてなく、逆に大きくなるのか?」と思ってしまうのです。  <説明> モータやコンデンサに電圧をかけると、初期に大電流が流れます。 これを突入電流とかインラッシュカレント(Inrush current)等と言います。 (モータの場合は、突入電流と言わないらしいですが、起動時に流れる電流の意味としてこう呼ぶことにします) 一般的にコンデンサは充電されるまで大電流が流れますが、コイルの場合は逆に始動の瞬間は電流が流れません。 ですのでコイルで構成されているモータに始動電流(突入電流)が流れる現象は直感的に理解し難いです。 これを理解するには、始動時(突入電流)とそれ以外の部分を別物として認識しなければなりません。  まず、始動時はモータが回転していないので、周囲の磁束の変化はなく、コイルは自己インダクタンスの影響しか受けません。即ち コイル単体だけの特性が現れる 事になります。(図中①部分) モータが回転を始めると磁束の変化が発生するので、 リアクタンス(抵抗)が発生し電流が絞られます。 (図中②部分) 即ち、 始動部はコイル単体の特性、それ以降はモータの特性  と言えます。 以下余談ですが、 始動電流を突入電流と呼ぶと理解を妨げる原因になるかもしれません。確かにモータ特性としてだけ考えれば、始動時に定常より大電流が流れるので間違ってはいませんが、コイル特性のみを考えた場合は、始動電流は突入でも何でもないわけですので。 また、モータロック時の電流が大きくなるのも全く同じ原理です。 ロック時は周囲の磁束変化が無いので、リアクタンスの影響が無くなりコイル単体の抵抗のみで電流値が決まります。 目次に戻る

LやCの電圧/電流位相差が90°の意味(式を使わないで説明)

交流動作時のL(コイル)やC(コンデンサ)の振る舞いとして、  ・Lは電圧に対して電流が90°遅れている  ・Cは電圧に対して電流が90°進んでいる と言うのがあります。 この「90°」とは何を意味するのでしょうか? また、進んでいる遅れているとは、どう言う事なのでしょうか。 90°の意味  端的に言えば、0°はゼロ、90°はMAX(=電源電圧)状態を表します。 つまり電圧、電流の関係が90°と言うことは、   「電圧0の時、電流MAX値になる」  また逆に、   「電圧MAX値の時、電流0になる」 の状態を表しているにすぎません。 波形グラフを見れば、上記状態になっている事がよく分かります。 余談ですが、過渡状態を考える時、全範囲をまんべんなく見るのではなく、幾つかのポイントとなる地点だけを見て比較すると理解しやすいです。 交流はサイン波で表されて、それは円の回転運動のY軸(直径部分)を電圧(電流)値とみなしています。 回転運動ですので円上の位置を表す為に角度を使います。 0°からスタートして、90°でMAXになり、そこからまた下がって180°になります。 180°は電圧(電流)値で見れば0°と同じ位置です。その先はマイナス電圧(電流)に進んで行きます。 位相が進んでいる、遅れている の意味  電圧と電流が相補的な関係になる事が90°の意味である事は分かりましたが、では位相が進んでる、遅れているとはどう言う事でしょうか。電圧と電流の波形のズレのを位相と言い、 抵抗成分しかない回路はズレがなくサイン波が重なって進んでいきます。即ち、位相はゼロです。 ところがLやCを含む回路では、そのズレ(位相)が90°になります。 そして、そのズレがLでは電流波形が先で、その後を追うように電圧波形が現れます。 Cはその逆です。 しかし、ここで疑問なのは、Cの「電流が先で電圧が後と」いう波形です。  電流は、電圧の結果として流れるもの です。なのになぜ電流が先なのでしょうか。 それは、ここで言う電圧とは、 電源電圧の事ではなく、コンデンサの端子間電圧の事なのです。   ですから、電源電圧波形は当然ですが一番先に来ます。 ではこれを考慮して、電源電圧の変動に対して、LやCの端子間電圧、電流がどのようになるか大雑把に考えてみます。 ・コイル→電源立ち上がりで、V L (コイル端子間電圧)...

「オームの法則」の理解を深める為の一問

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 オームの法則は、電子回路の根底ですが非常に単純です。しかし本質を理解するのは意外と難しいと思います。 下記に、どの式にも共通するイメージで表現したいと思います。 1、V=IR :ある抵抗Rに電流Iが流れると、抵抗Rの前後の 電位差はV になる 2、I=V/R :ある抵抗Rの前後の 電位差がV の場合、Iの電流が流れる 3、R=V/I  :ある抵抗Rの前後の 電位差がV で、電流値がIの場合、抵抗値RはV/Iである 意識すべきは、 Vだけは常に 二点間の差 である 事です。他のパラメータはそのまま使えますが、電圧だけは差を計算し代入しなければなりません。 オームの法則の「V」は、「ΔV」とした方がイメージ的に分かりやすい と思います。 理解を深める問題を一つ、下記回路のV?の電圧値はいくらになるでしょうか? 左の回路は言うまでもなく5Vです。 では、右は・・・・  右も5Vです。 左右で回路が異なるのに、なぜ同じ値になるのでしょうか? 右回路の抵抗Cの先はオープンなので、この経路には電流が流れません。 すなわち抵抗CのΔV=IR=0(A)×1(kΩ)=0(V) 抵抗Cの前後で電圧の変化は無しです。 つまり抵抗Cは無いのと同等であり、左回路と同じ結果になるわけです。 ここで、 V?の所には電圧計が入るわけですが、電圧計は内部抵抗無限大ですので、電流は流れません。 電圧計に電流が流れないというのは、定義ではありません。測定上必要な要素です。 もし電圧計に電流が流れてしまえば、測定に影響を与えてしまいます。 電圧計内部抵抗と抵抗Cの分圧の電圧値が観測されてしまうからです。 また、これは合成抵抗値を求めて解く方法もあります。 V?の箇所は前述の通り無限大です。 ですので分岐箇所の合成抵抗は1kΩ(抵抗C)+無限大Ω=無限大Ωになります。ここと抵抗Bは並列になっていて、その合成抵抗Rは 1/R=(1/1kΩ)+(1/無限大Ω)です。(1/無限大Ω)は0ですので、この式の2項目は消滅するのでR=1kΩとなります。結局抵抗Bは元の値と変わっていないません。 この記事は過去に書いたNOTEの記事を再編して作成しました。 オームの法則 目次に戻る

電流源とは何か(内部抵抗無限大の意味は)

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電流源(定電流源)とは何なのでしょうか? 「電圧源は電圧を発生させる回路であり、電流源は電流を発生させる回路である」というわけではありません。 両方とも電圧を発生させているだけです。 電流源の概念  まず全ての基本となる事は、 電圧発生の結果として電流が流れる という事です 。主従関係は必ず電圧>電流です。 従って、電圧源も電流源も、制御するパラメータは必ず電圧です。 どんな電源でも、内部では必ず「電圧」を発生・調整する構造になっています。 「電圧源」「電流源」の違いは モニターする パラメータだけです。 電圧源:電圧をモニター⇨電圧を調整して目標電圧値に誘導 電流源:電流をモニター⇨電圧を調整して目標電流値に誘導           電圧源            電流源  電圧源を電流源として使えないのか  負荷が変動しなければ使えます。目標の電流値になる電圧を割り出して、その電圧値を設定固定すれば良いだけです。しかし、現実の回路は負荷が変動します。ですので電流値をモニタして、変化する負荷に追従して一定電流を出力し続ける定電流源を使うしかないのです。 負荷が変動したら出力電圧・電流は変化するのです。 電源が一定電圧を出し続けている時、電源内部は静的な状態にあるように見えますが、 実際は、負荷の変動に応じて出力電圧を変化させ、一定電圧を維持させています。 電流源も同じです。 綱引きで考えると、綱が動かない状態(力の均衡が保たれてる状態)では、左右の引っ張る力は同じです。 しかし、相手が強く引いてきたら、こちらも強く引かなければならないし、逆に緩めてきたらこちらも緩める必要があります。 綱が動いていないので、何の力の調整もしていないように見えますが、均衡を保つためには相手の変化(引っ張る力)と同じ変化を自分もしなければならないのです。つまり電流源も負荷の変動に合わせて電圧を動かさないと、 定電流を維持できないのです。 電流源の内部抵抗  電流源回路の内部を説明する表現で、内部抵抗が高い(無限大)という説明があります。しかし、それは電流源の概念を説明するためで、実際の回路がそうなっている訳ではありません。 負荷が変化しても電流は変化しない という概念を理想回路として表現しているだけです。        ...

オペアンプ 仮想短絡の理由(式を使わず概念で理解できる)

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はじめに  オペアンプの仮想短絡(イマジナリショート)は、オペアンプ内部でそうしている訳ではありません。外付けの負帰還回路とコンパレータロジック(オペアンプのロジックはコンパレータと同じ)が引き起している現象です。 全てはまず、 基本ロジックを認識し、それに基づいて考える 事が重要だと思います。 そして、 デジタルIC(オペアンプ)がなぜアナログ出力になるのか を考える事も、理解する上で重要なポイントになります。 オペアンプのロジックは、コンパレータと全く同じです。それさえ認識していれば、仮想短絡(イマジナリショート)や増幅率無限大の概念は、式など使わず理解できます。 では詳細に考えていきます。 コンパレータのロジックは、+端子と−端子を比較して+が大きければHi、逆であればLoを出力する実に単純なロジックです。 それを基に仮想短絡と増幅率無限大を考えます。 仮想短絡  仮想短絡とは+端子と−端子が同電位になる特性ですが、これはオペアンプの中でそのようなロジックが組まれている訳ではありません。オペアンプのロジックは飽くまでコンパレータと同じです。 外付けの負帰還回路構成が、そう(仮想短絡)させているだけです。 負帰還回路で一番シンプルなボルテージフォロワで考えれば概念的に理解しやすいです。                       これにコンパレータのロジックを適用して考えてみましょう。 例えば、+端子に2Vを入力します。(VDDは5Vとします)。 初期のVout(=−端子)電位は不定ですが、例えば2Vより高い場合、Voutは0Vになります。 帰還されて−端子も0Vになります。 +端子2V、−端子0Vなったので、次の状態はVoutには0→5Vが出力されます。 (デジタルICなので、出力は0Vか5Vしか発生しません) 以降、同じようにロジックを追っていくと、Vout(=−端子)は0V⇦⇨5Vを繰り返し、一種の発振状態となります。 この発振の中心値は2V(+端子電圧)ですが、+端子が何Vであろうと0-5Vで発振するので、この状況では+端子の電位は何でもいい事になります。 今考えたような反応が遅い状態だと0Vと5Vを往復する矩形波を想像してしまい、 中心値が2Vである事が分からないです。 でも実際は反応速度が速い為、2Vを横切った瞬間にすぐ反転し、0Vや5Vに到...