サージとインラッシュ電流(突入電流)の違い

<はじめに> 
 そもそもこの二つは全然違うと言われると身も蓋もありませんが、両者は同じだと感じる方に向けて書きます。「サージ」も「突入電流」も急激な電気的変化の現象で、装置の故障に繋がる恐れがあるものです。サージ電圧が発生すればそれに伴い急激に電流が流れる事がありますが、それを突入電流とは呼びません。この言葉が何を表しているかを知れば故障の事前防止になるかもしれません。


<サージと突入電流の違い>
 定義は無いと思いますが、一般的にはこんな感じだと思います。
・サージ:電圧の急激な変化によって発生する高電圧の事。これによって発生する電流をサー
     ジ電流と呼ぶかもしれません(突入電流とは呼びません)。コイルの逆起電力や静
     電気放電などがあります。
・突入電流:主に始動時(ON時)の瞬間に流れる電流を指す事が多いです。始動時の負荷抵抗
      が低い為に発生します。高電圧が原因ではなく、低負荷が原因で発生するイメー
      ジです。


<発生原因>
・サージ:コイル(リレー、ソレノイド)のオフサージ(コイルの逆逆起電力)。
     静電気、雷(帯電した絶縁物からの放電)なども。
・突入電流:コンデンサ、モーター、フィラメント等
     コンデンサは充電されるまでの電流。モーターは起動時に回転する前の磁束変化
     がなく電流阻止されない状態の電流。(なお、モーターはコイルで構成されている
     のにも関わらず起動時に大電流が流れる理由はこちらを参照してください)


<留意すべき故障>
・サージ:コイル(インダクタ)負荷を駆動するトランジスタの故障(D-S間の過電圧破壊)
     或いはリレーやスイッチの接点劣化(アーク(接点火花)によるもの)。
     MOS FETのゲートやCMOSの入力端子の静電気故障
     
・突入電流:容量(コンデンサ)或いはモーターの電流経路上にあるトランジスタや電源ICの
      故障(過電流)、或いはリレーやスイッチの接点劣化(溶着)

イメージとしては、サージはコイルが関係する部品、突入電流は容量(コンデンサ)が関係する部品が原因となる可能性が高いと言えます。(詳細はコイルはOFF時コンデンサはON時に注意を見てください)


<発生防止に必要なこと>
 これらの影響を確認するには、電源や負荷のON/OFF時の電圧・電流の測定が重要です。
インダクタ原因のサージは注意する場合が多いですが、電源安定用のコンデンサへの突入電流等は盲点になりやすいです。

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