インダクタ(コイル)の本質

<インダクタの機能>
 インダクタは、電磁気の特性を利用する事により色々な機能を実現させている。
大きく下記に分類される。

磁気を力として使用(アクチュエータ)
 コイルが電磁石になることを利用し、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する
  例)モーター
    リレー
    ソレノイドバルブ
自己誘導を利用した装置
 発生した磁気が自分自身に影響する特性を利用
  例)チョークコイル
    DCDCコンバータ(スイッチングレギュレータ)
相互誘導を利用した装置(発生した磁界でエネルギー伝達)
 発生した磁界を媒介してエネルギーを伝達
  例)トランス(変圧器)
    非接触充電(ワイヤレス充電)


<特性から機能を説明> 
 電線に電流が流れると周囲に磁界が発生する。電線を巻線にすることで、
定電流時は磁束密度を上げ電磁石となり、電流変動時は隣接の電線と相互に磁束の影響を与えあい、自己誘導の現象を利用した素子となる。
インダクタを理解するには、まず電流と磁界の関係を知る必要がある。

電流は起磁力である(電流により磁力が発生する)。またその逆も成り立ち、磁力は起電力にもなる。即ち

1、電流⇨磁力を発生する。

2、磁力⇨電流を発生する(=電圧発生する)

であるが、注意すべきことは、2である。 磁界にさらされれば電圧が発生するのではなく、磁界の変動によって、電圧が発生する。 変化の無い磁界中では電圧は発生しない。
(もし静磁界で電圧が発生するなら、タービンを回す事なく発電する永久機関ができる)
つまり磁界自体はエネルギーを持たない事を意味する。

・磁界の発生条件:電圧だけではダメ(×)、   電流が必要(○) 
・電圧の発生条件:磁界の存在だけではダメ(×) 、  磁界の変化が必要(○)


<補足>

実際はこれ以降が一番重要なところ。

自己誘導について
 自己誘導の特徴は、電流の変化に応じてそれを阻止する方向に起電力(電圧)を発生する事である(逆起電力)。
逆起電力とは、現状を維持しようとする力であり、いわゆる「慣性の法則」に似た動作とも言える。
1、チョークコイルの原理(高周波ノイズを通さない原理
  電流変化が無い場合はコイルの両端は同電位であるが、変化が発生した瞬間、その分を阻
  止する電位が発生する。電位差の発生はコイル入力の電位が出力に伝達しない事を意味
  する。つまりノイズの伝達を断つ事になる。
ノイズを模擬した場合、2番目の状態の後、1番目に戻る。すなわち抵抗上流の電圧は変化しないまま元に戻るので、コイルがノイズの影響を阻止した事になる。


2、スイッチングレギュレータの原理(元電圧より高い電圧を作り出す原理
  抵抗値が瞬間的に高くなった場合、電流を維持する為にコイル下流電位を上げる。
  スイッチオフ時は、この抵抗値が無限大に大きくなるので、
  コイル下流電圧も非常大きい値となる。 
  なお、この原理は誘導負荷サージが発生するメカニズムと同じである。


※実際のコイル電圧は過渡現象ですので、このような方法では算出できません。
 V=L*di/dtで求めます。
 概念的に分かりやすくする為に、厳密さには欠けますがこの様な説明にした事を
 ご承知ください。

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