電子の速さは遅いのに 電流は速い理由

 自由電子(以降、電子と書きます)の移動によって電流が流れるのですが、電子と電流の速さは全く違うと言う話を聞いた事はないでしょうか? 電流はほぼ光速(約30万km/s)であるのに対し、電子は0.07m/sとのことです。約430万倍の違いがあります。

電流は電子の動きであるのに、「電子の速度」≠「電流速度」である理由は何でしょうか。
電子回路を水道に例えて説明します。

もし水道管が空っぽ状態であった場合は、送水場で送った水が家に到着するには時間がかかります。しかし実際には水道管には水が充填されていますので、水が送られた瞬間に家に到達します。つまり水の速度自体はどんなに遅くても、送水した瞬間に水が到着するのです。

到達した水は、送水場から送った瞬間の水とは別物ですが、水を送った結果、水道から水が出てくる事実は、スイッチを入れた瞬間に電球が点くのと同じ感覚です。

つまり電子は導線中に既に存在していて、電圧がかかった瞬間にそれらが一斉に動き出す事が電子と電流速度を説明するポイントのようです。

速度の概念は、物がスタートからゴールまで移動する現象に当てはめるのが普通です。
しかし、電流速度は言わば長い物体の端をスタートポイントにし、他端をゴールポイントにしているわけですから、理解しづらいですし、それを速度と言って良いのか疑問が湧きます。
例えば、大阪にある電源スイッチを東京にいて押したい場合、スイッチを押す物体を東京から大阪まで移動させる必要があります。それが人だったら新幹線や飛行機を使って移動しなければなりません。しかし、もしその物体が細長くて大阪まで伸びているとしたら、スイッチは瞬時に押す事ができます。


一般的な速度の概念で考えると誤解を招くので、表現としてこのように使い分けたら良いのではないでしょうか。
・電流速度=0.07m/s(電子の速度)
・電流の応答速度=約30万km/s(光速)

最後に、以上の説明は概念でしかありません。光速である理由が説明できる内容ではない事をご了承下さい。 

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