LやCの電圧/電流位相差が90°の意味(式を使わないで説明)

交流動作時のL(コイル)やC(コンデンサ)の振る舞いとして、
 ・Lは電圧に対して電流が90°遅れている
 ・Cは電圧に対して電流が90°進んでいる
と言うのがあります。 この「90°」とは何を意味するのでしょうか?
また、進んでいる遅れているとは、どう言う事なのでしょうか。


90°の意味
 端的に言えば、0°はゼロ、90°はMAX(=電源電圧)状態を表します。
つまり電圧、電流の関係が90°と言うことは、
 「電圧0の時、電流MAX値になる」 また逆に、
 「電圧MAX値の時、電流0になる」
の状態を表しているにすぎません。
波形グラフを見れば、上記状態になっている事がよく分かります。
余談ですが、過渡状態を考える時、全範囲をまんべんなく見るのではなく、幾つかのポイントとなる地点だけを見て比較すると理解しやすいです。

交流はサイン波で表されて、それは円の回転運動のY軸(直径部分)を電圧(電流)値とみなしています。 回転運動ですので円上の位置を表す為に角度を使います。
0°からスタートして、90°でMAXになり、そこからまた下がって180°になります。
180°は電圧(電流)値で見れば0°と同じ位置です。その先はマイナス電圧(電流)に進んで行きます。


位相が進んでいる、遅れている の意味
 電圧と電流が相補的な関係になる事が90°の意味である事は分かりましたが、では位相が進んでる、遅れているとはどう言う事でしょうか。電圧と電流の波形のズレのを位相と言い、
抵抗成分しかない回路はズレがなくサイン波が重なって進んでいきます。即ち、位相はゼロです。 ところがLやCを含む回路では、そのズレ(位相)が90°になります。

そして、そのズレがLでは電流波形が先で、その後を追うように電圧波形が現れます。
Cはその逆です。 しかし、ここで疑問なのは、Cの「電流が先で電圧が後と」いう波形です。 電流は、電圧の結果として流れるものです。なのになぜ電流が先なのでしょうか。

それは、ここで言う電圧とは、電源電圧の事ではなく、コンデンサの端子間電圧の事なのです。  ですから、電源電圧波形は当然ですが一番先に来ます。

ではこれを考慮して、電源電圧の変動に対して、LやCの端子間電圧、電流がどのようになるか大雑把に考えてみます。

・コイル→電源立ち上がりで、VL(コイル端子間電圧)はが逆起電力により電源電圧となりま
     す。そこに全電圧を取られるので直列負荷等には電圧配分されないので電流は流れ
     ません。 すなわち、電圧が先です。
・コンデンサ→電源立ち上がりで、Vc(コンデンサ端子間電圧)は0Vです。直列負荷等
     には電源電圧がそのまま印加されるので、電流値はMAX流れます。すなわち、電流
     が先です。

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