モーター始動時の突入電流の理由(コイルは起動電流を阻止するはずなのに)
<はじめに>
コイルは始動電流を阻止するはずなのに、なぜモータは突入電流が流れるのか? という疑問について書きたいと思います。
コイルは始動電流を阻止するはずなのに、なぜモータは突入電流が流れるのか? という疑問について書きたいと思います。
結論から言うと、まず突入電流にみえている電流はコイル単体の特性が出ているだけで、その後の電流が小さくなるから大きく見えているだけです。 この突入電流に見える電流は、本来その後もずっと流れ続けるはずのものですが、モータの回転につれて電流が減少する為に、始動時の電流だけが突出して見えるだけです。 モータ特性全体をコイルの特性と思って見てしまうから「なぜ始動電流は絞られてなく、逆に大きくなるのか?」と思ってしまうのです。
<説明>
モータやコンデンサに電圧をかけると、初期に大電流が流れます。
これを突入電流とかインラッシュカレント(Inrush current)等と言います。
これを突入電流とかインラッシュカレント(Inrush current)等と言います。
(モータの場合は、突入電流と言わないらしいですが、起動時に流れる電流の意味としてこう呼ぶことにします)
一般的にコンデンサは充電されるまで大電流が流れますが、コイルの場合は逆に始動の瞬間は電流が流れません。 ですのでコイルで構成されているモータに始動電流(突入電流)が流れる現象は直感的に理解し難いです。
これを理解するには、始動時(突入電流)とそれ以外の部分を別物として認識しなければなりません。
- まず、始動時はモータが回転していないので、周囲の磁束の変化はなく、コイルは自己インダクタンスの影響しか受けません。即ちコイル単体だけの特性が現れる事になります。(図中①部分)
- モータが回転を始めると磁束の変化が発生するので、リアクタンス(抵抗)が発生し電流が絞られます。(図中②部分)
即ち、始動部はコイル単体の特性、それ以降はモータの特性 と言えます。
以下余談ですが、
始動電流を突入電流と呼ぶと理解を妨げる原因になるかもしれません。確かにモータ特性としてだけ考えれば、始動時に定常より大電流が流れるので間違ってはいませんが、コイル特性のみを考えた場合は、始動電流は突入でも何でもないわけですので。
また、モータロック時の電流が大きくなるのも全く同じ原理です。
ロック時は周囲の磁束変化が無いので、リアクタンスの影響が無くなりコイル単体の抵抗のみで電流値が決まります。
ロック時は周囲の磁束変化が無いので、リアクタンスの影響が無くなりコイル単体の抵抗のみで電流値が決まります。
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