誤検知という不具合(しきい値の考え方)
<はじめに>
過電流検知、過温度検知、ガスセンサーなど検知機能には多くの種類があります。これらは正しく検知する事は勿論必要ですが、同じくらい誤検知しない事も重要です。
過電流検知、過温度検知、ガスセンサーなど検知機能には多くの種類があります。これらは正しく検知する事は勿論必要ですが、同じくらい誤検知しない事も重要です。
どちらの故障モードでも故障には違いなく、修理や交換をしなければならない事実には変わりありません。 誤検知品が市場に流出してしまう原因の一つに、しきい値の考え方の不備があると考えます。
<検査もれの原因>
ここで言う誤検知とは、製品不良が原因でしきい値が規定を外れた為に、検知しなくて良い正常レベルを異常判定してしまう事を指します。よくあるのは異常検知の検査は行なっていても誤検知に対する検査はしていないケースです。通常状態で誤検知していないから問題ない、つまり通常動作を観察する事が誤検知有無の検査になっているという事があります。
表裏一体の物は、状態が二つしか無いが故に、片方が確認できればもう片方は確認しなくとも分かるという先入観があります。
それと同じく、検知、不検知の2状態がある場合に、正しく異常検知する事が確認できれば、不検知側も正しく動作していると考えがちです。
検知の「しきい値」の考え方は、IC入力信号のHi、Loのしきい値と全く同じです。
HiもLoも重みは同じなので、Hiを認識したから安心してLoは省略してしまう事は無いと思います(これは冗談ですが)。
しきい値は簡単な概念ですが、意外に落とし穴があるパラメータであると感じます。
以下に、しきい値の確認方法について書きます。
<しきい値の正しい確認方法>
ICのHi、Loのしきい値を例にとって考えます。
一番分かりやすい検査方法は、しきい値がいくつなのかを測定する事です。
入力電圧をスキャンしていき、ロジックが反転したタイミングを検知して測定しますが、時間がかかるのと、規格内に入ってるか否かを知るだけの目的に対してはオーバスペックです。 ですので、恐らく一般的には定点測定をしてると思います。
ここで間違い易いのは前述の通り、1点で測定してしまう事です。
ある個体のしきい値の規格値が2.5Vの場合、Hiを確認するのに例えば2.51Vで検査したとします。これでHi認識された場合、HiはOKですがLoはどうでしょうか。この個体が不良品でしきい値が1Vになっていた場合でも、HiはOKになります。極論を言えばHiにしかならない故障品でも、Hiの検査だけは合格します。 ですのでHiだけではしきい値が正常か判断できないのです。Loに対しても同じ検査をする必要があります。
検査は必ずHi・Loの各1点で行う必要があります。
しきい値の規格は個体毎のバラツキを考慮して、幅を持たせて設定されています。
例えば2〜3Vにしきい値が設定されている場合、Hiを保証する電圧は3V、Loを保証する電圧は2Vになります。3VはHi領域の始点、2VはLo領域の始点です。この両始点で測定する事が必要です。目次に戻る
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