ハイインピーダンスと0Vの違い
<はじめに>
ハイインピーダンスとはオープン(開放)状態の事を言いますが、オシロスコープやテスターで測定すると0Vを表示します。 しかし、ハイインピーダンスと0Vは別物です。
ハイインピーダンスとはオープン(開放)状態の事を言いますが、オシロスコープやテスターで測定すると0Vを表示します。 しかし、ハイインピーダンスと0Vは別物です。
ハイインピーダンスは不定(何Vになってるか分からない)状態で、0Vはゼロと言う電位の状態です。
<区別しないといけない理由>
では、この違いを認識しないとどんな事が起きるでしょうか?
ハイインピーダンスと0Vの違いを意識しなければならない状況(その1)
故障解析:ショートとオープンを見誤る
テスタを当ててみたら0Vだったので、0V固定故障(GNDショート)と思ったらオープンだったなんて事があるかもしれません。前述の通りオシロやテスタはハイインピーダンスも0Vも、0V表示するからです。 ではハイインピーダンスと0Vはどうやって見分ければ良いのでしょう。 基本はV-I特性を見る事です。 電源オフにした状態でカーブトレーサのような測定器でみます。電圧をかけても電流が流れないのであればオープン故障。ある電位で電流が流れ始めたらオープンでは無い。
ハイインピーダンスと0Vを意識しなければならない状況(その2)
CMOSの入力端子:ICの劣化を誘発する 無駄な電力消費の原因
入力の空き端子は必ずプルダウン(もしくはプルアップ)処理をする様注意書きがあります。
CMOSの入力端子の先はMOSFETのゲートになっていて、それは容量(コンデンサ)ですのでDC的にはオープン(ハイインピーダンス)です。 従って、使用していないからと言って何処にも繋がないと電位が不定になり、出力に何が出てくるか分かりません。
そもそも使ってない入力に対する出力なのだから何が出力されようと構わないと思われるでしょう。ですので実害は、CMOSのPch、Nchが中途半端にONする事による貫通電流が発生する事です。これがICの発熱劣化や消費電流の無駄になります。
<余談>
ハイインピーダンスと0Vの違いが分かる表現を考えてみました。
・個数は何も無い状態を0個と表現するが、電圧は何も無い状態を0Vとは言わない。
・ON/OFFスイッチで、Hi、Lo信号を作る事はできない
(ON=5V、OFF=0Vにはならない。OFF=ハイインピーダンス)
・電源を切った後の電流値は0Aだが、電圧値は0Vではない。
つまり、電圧と違い、電流は「何も無い状態」=「0」になる
「0」と「無」の関係がイコールになるものとならないものは、こんな感じでしょうか。
・無にできるものは「0=無」
→電流、個数、重量
・無にできないものは「0≠無」
→電位、標高、温度
脱線しましたが、誤解を招く事を書いてしまいましたので修正します。
今回の議題であるハイインピーダンスは無の状態ではなく、不定状態です。
(不定:定まらないだけで値は存在する)
ですので「0Vでは無い」と書いたところは、0にはならないという意味ではなく、偶然0Vになる事はあるが何Vになるか分からないという事です。
追記:ハイインピーダンスではオシロスコープは0Vを表示すると言いましたが、環境によって
はノイズを拾って波形が揺れるのでハイインピーダンスだと気づける事があります。
<まとめ>
0Vは、わざわざ作り出している電圧であり、電源やスイッチを切って無制御になって発生する状態とは違います。
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