サッカーVAR(ビデオ判定) mm単位精度への疑問
ワールドカップサッカー、対スペイン戦で、三笘選手がクロスを出す瞬間にラインを割っていたか否かが話題となりました。
結果VAR判定により紙一重でIN判定となりましたが、色んな記事で1mmと言う表現が使われており、中には1mm以下の測定精度があると言う記事もあって、やや違和感を感じました。
まず、映像(動画)は静止画をつなぎ合わせた物に過ぎませんので、静止画を毎秒何枚撮れたかで測定精度が決まります。1秒間に撮れる画数が多いほど切れ目のない映像になりますので、精度が高い測定ができます。
それを踏まえて仮に計算をしてみたいと思います。
カメラのスペックや、その他データを正確に知る事ができませんので、飽くまで全て仮定になってしまいますが、
カメラのスペックや、その他データを正確に知る事ができませんので、飽くまで全て仮定になってしまいますが、
・パス(球)の速度:8.4m/s(Football LABのパススピードランキングの日本チーム平均値より)
・ハイスピードカメラ性能:1000fps(1000コマ/秒)
・ハイスピードカメラ性能:1000fps(1000コマ/秒)
パスはゴールラインに対して約30°の軌跡でしたので、ゴールラインに垂直方向に換算した速度は(sin30°=0.5)で8.4m/sの半分の4.2m/sになります。 これから1コマ当たりの精度(コマとコマの間でどのくらいボールが進んでしまうか)を求めると。 4.2m/1000=4.2mm
となります。
4.2mmごとの映像しか撮れない事になりますので、1mmの精度は出せません。
ボールが一回外に出てもその瞬間はコマとコマの間になっていて捉えれられていない可能性があります。
ボール内蔵チップ(センサ)を利用し、蹴った瞬間のタイミングで映像を止める機能があっても、前述の通りコマとコマの間は撮れてないので、そこで見れる画像は蹴った瞬間に一番近いコマにすぎません。それは完全に蹴ったタイミングと一致する場合もあるかも知れませんが、最悪0.5コマ分ずれる可能性もあります。
完全一致させる為には、蹴った瞬間に撮影する仕組みにすれば良いですが、いくら通信は瞬時(光速)であっても、ボール内センサが情報送信するまでのデジタル処理、そして受信側も同じくデジタル処理をしますので、ある程度のタイムラグが発生します。
静止物を1mm以下の単位で測るならまだしも、動体を、しかも通信による遠隔トリガでの測定でその精度が出せるのか私的には疑問があります。
つまり、切り取った静止画像に対してはコンマmm単位の測定はできますが、その静止画像が本当に問題の瞬間であるかは、かなり難しいと思います。
と、書いている途中で思いつきましたが、コマとコマの間は計算でいくらでも算出できそうですので、そう考えるとやはり問題は、同期の精度です。
動画のコマ間の抜けは、計算で全て埋め尽くされて完全にリニアなデータになったとして、その中のどのポイントでクロスが蹴られたのか。そこの精度がポイントだと思います。
これは前述の通り、どんなに短時間であっても演算による遅延が発生し、その時間を考慮し補正するにしても誤差を防止するのは不可能ですので、完全一致のタイミングを得ることはできません。
そう考えると、飽くまで理論的にと言う話ですが、マイクロやナノメートルレベルまで突き詰めると、どんなシステムを使っても、INである事を証明するのは不可能だと思います。
外に出た一瞬を捉えられてない確率が0%ではないからです。
あの写真も、蹴られてINになった瞬間かもしれません。
逆にOUTである証明はできます。アウトの瞬間のコマが一つでも存在すれば良いだけだからです。 INの瞬間のコマは(推測のコマも含め)何枚あってもINの証明にはなりません。
例えが正しく無いかもしれませんが、存在する事を証明するのは簡単でも、存在しない事を証明するのは難しいのに似ているかもしれません。
最後に誤解してほしくないのは、VAR判定が間違っているとか、意味がないと言いたい訳ではありません。テクノロジーの限界は仕方なく、その範囲の中で判定すれば良い訳ですから。
言いたかった事は、1mmと書いてる記事が多くある(三笘選手本人が1mmでも…と言った事が発端ですが)中で、それぐらい紙一重だったと言う内容だけであればこんな屁理屈は書きませんでした。しかしVARの性能はコンマmm単位で測定可能という記事もあり、それに対して問題提起したくなったと言う事です。
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