「オペアンプは2つの入力の差を増幅する」は少し違う

  表題の「 」内の文言をあるところで見かけました。気になりましたので、これについて意見を書きたいと思います。屁理屈かもしれませんが、理解の妨げとなる可能性を秘めていると思います。 理解している人には許容できても、私の様な理解の遅い人にとっては細かな所がつまずきの原因となりますので、重要な問題だと思います。 

まず、オペアンプ(OP amp)単体で考えた場合、「2つの入力の差を増幅する」という表現は間違っていると思います。

確かに増幅はしますが、増幅率は無限大なのでHiかLoに張り付いてしまいます(飽和します)。即ち、入力の差がいくつであっても、それが1Vだろうが、0.1Vだろうが、0.0001Vだろうが、全てHかLになるだけです。 全部同じ結果になるものを増幅と呼ぶでしょうか? これはデジタル回路の入出力の関係と同じです。しきい値を少しても越えれば出力はHに、下まわればLに張り付きます。 しきい値と入力信号の差を、無限大に増幅しているわけです。

この「オペアンプは2つの入力の差を増幅する」は、オペアンプはそのような回路(システム)を組む為に使う、という意味で言っているのでしょう。 しかしオペアンプ単体が増幅させていると勘違いしてる人が沢山いるので、この表現はそれに拍車をかける事になります。
オペアンプは前述の通りコンパレータと全く同じですので、増幅という概念はありません。オペアンプは増幅機能を担うのではなく、仮想短絡を作り出す役目をしています。 そして仮想短絡と外付け抵抗の分圧の原理で増幅機能を作り出しています。

単体とシステムを切り分けずにごちゃ混ぜで説明してしまうと、混乱する人が続出します。 

オペアンプの機能を大雑把に説明するとこうなるでしょうか。
 ・オペアンプ単体の機能はコンパレータと同じである。
 ・これを使って負帰還回路を構成する事で、仮想短絡(イマジナリショート)ができる。
 ・仮想短絡を利用して、2つの入力の差を増幅させる回路ができる
 
この場合の2つの入力とは、オペアンプ単体の入力端子のことではなく、オペアンプを使った増幅回路システムの入力の事です。

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