チップLEDは不完全な負荷

 <はじめに>
 題名に「チップLED」と表現した意図は、LED照明のような内部に制御回路が入っている製品と区別したいからです。 素のLEDと言う意味です。この素子の使い方について、当たり前の内容ではありますが、ダイオードの概念を理解する助けになればと思います。


<LEDが不完全負荷の理由>
 チップLED(以下LEDと書きます)は、不完全な負荷と言えます。 一般的に、負荷は単体で電源に繋いで機能するものと言う概念がありますが、LEDは単体で電源に繋いだ場合、過電流破壊するか、点灯しないかです。(実際はVf付近の電圧で駆動できたり、電源の電流容量が小さければ壊さずに点灯させる事もできますが、今回は十分な電流容量の電源5Vを印加した場合を想定します)

LEDは、通常は抵抗を繋ぐか、定電流源で使います。それは前述の通り過電流で破壊してしまうからです。 つまり負荷でありながら抵抗成分か存在しないのです(勿論0ではありません)。 電力消費するのに抵抗成分が存在しない、これはダイオード全般に言える事です。電流を絞らないのでVf電圧を超えた瞬間の過電流で壊れる危険性があるのです。  

回路動作と抵抗の関係には、無意識の内に下記のようなイメージを持ってしまいます。
(これはオームの法則が根底にあるからと想像します)
電圧降下の発生は抵抗の存在を意味する」、「エネルギー消費する物は抵抗成分を持つ
しかし、LED(ダイオード全般)には、この概念は当てはまりません。


<ダイオードのV-I特性>
  下図(図1)のように、Vfを超えた瞬間にほぼ垂直に電流が立ち上がります。 もし目標電流にするために電圧で制御しようとすれば、Vf付近の狭い範囲で調整しなければいけません。
少し電圧を動かしただけで電流値は大きく変動します。しかも、個体毎に特性は微妙に異なるので、実質電圧制御は不可能という事になります。
ですので、抵抗を入れて(図2)電圧に対する電流変動を緩慢にさせて電圧制御できるようにします。     
                                  

         (図1)

         

         (図2)


図2を見て、抵抗特性が途中から始まる事に違和感を持つ人もいるかもしれません。
これを理解するには、Vfまでは電圧降下だけで電流は流れていない事実を認識しなければなりません。 VfまではLEDに電圧が取られ、抵抗にはその間電圧はかかりません。そしてVfを超えてから抵抗に電圧がかかり始め、電流も流れ始めます。
つまり抵抗にとってはVf電圧が起点(0V)になると言えます。

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