電子回路における動的平衡の重要性

身の回りには、止まって見えていても実は動いているものが多くあります。静止させる為に動かしているといった方が正確かもしれません。 この場合の「動かす」は移動の意味ではなく、力が働いているという意味です。

綱引きは、力が均衡(平衡)している(釣り合っている)と静止するわけです。しかし力が何もかかって無くても静止します。 重要なのは、その静止状態が何も力が働いてなくそうなっているのか、力が均衡してそうなっているのかという事です

タイトルに示した動的平衡という言葉は色々な意味で使われますが、総じて言えば、常に動いているもの同士が全体としてバランスがとれて均衡が保たれている状態の事です。

これは電子の世界にも当てはまると思います。
代表例としては電源があります。電池などはそれに当てはまらないかもしれませんが、回路として組まれた電源は全て該当します。

定電圧源であれば一定電圧を出し続ける場合、電圧値が変わらないので何も動いていないと感じてしまいます。(ここで言う「動いていない」は、staticの意味です)。
例えばポテンショメーターのように分圧で電圧値を決めて、その設定を維持し定電圧を出続けるようなイメージです。

しかし、実際はそうではなく、負荷変動によって起こる電圧変動を抑える為に、常に電圧を変化(調整)させています。綱引きで例えれば、相手が引く力が常に変動していて、それに合わせてこちらが引く力も調整し、綱が動かないようにしています。

制御されている電圧(電流)は、すべてこの原理に従っています。
そしてこれは、電源をはじめとしたフィードバック回路系全てに当てはまります

フィードバック系を大雑把に表現すると、目標値を境に行ったり来たりを常に繰り返す動作をするものです。 普通は、行ったり来たりの幅が限りなく小さい(≒0)ので、目標値に張り付いて静止している様に見えます。 しかし制御がうまくいってないと、この振幅が大きくなり発振しているように見えます。


動的平衡は電子回路を考える上でとても重要な概念だと思います。
蛇足ですが、電子以外に動的平衡が働いているものとして、電力、水道、恐らく都市ガス等もそうだと思います。 つまり使用量が時間帯によって変動するので、それに合わせて例えば水道であれば水圧を強めたり弱めたりして、蛇口から出る水圧を一定に保つわけです。

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