コイルはOFF コンデンサはONの時に悪さをする

<はじめに> 
 コイル・コンデンサは過渡現象があり、その時の動作に注意が必要です。
コイルは過電圧、コンデンサは過電流を引き起こす可能性があり、その程度によっては回路の故障や誤作動の原因になります。


<コイルから発生する過電圧サージ>
 通電が切れる瞬間に発生する逆起電力が由来のサージです。offサージと呼ぶ事もあります。
具体的には、リレー・ソレノイドアクチュエータ・モータ等の誘導性負荷が該当します。
サージにより、この負荷を駆動するトランジスタが破壊する事があります。

サージ電圧がトランジスタの耐圧を超えた場合に破壊しますので、サージレベルの把握が必要です。しかしサージ電圧を正確に把握する事は難しく、マージンを持った対策が必要です。 正確な把握が難しい原因は、スイッチング速度によってサージ電圧が変化する為です。 
V=L*(di/dt)ですので、スイッチング速度が速いほどサージ電圧は高くなります。
例えば、MOSFETのゲート抵抗を変化させるとスイッチング速度が変わり、サージ電圧も変化します。

また、OFF時に注意と書きましたが、ON時にも注意しなければならない場合があります。リレーの様な機械的接点ではチャタリングが発生し、短時間ですがON /OFFを繰り返すからです。
このOFFの瞬間に逆起電力によるサージが起きます。 微視的に見ればOFF時のサージですが、
リレーの動作で見ればON動作であり盲点になります。
 トランジスタと違い過電圧でリレーが直ちに故障する事はありませんが、この状態の繰り返しにより接点にカーボンが堆積し導通不良となる可能性があります。
コイルOFF時に高電圧が発生するメカニズムは、下記リンク内に記載しましたので参考にして下さい。


<コンデンサが起こす過電流>
 通電する瞬間にコンデンサに流れ込む過電流が原因で、スイッチングしているトランジスタの破壊やリレー接点の溶着が発生します。
ON時に流れる突入電流を確認しておく必要があります。

また、盲点となり易いのがコンデンサから出ていく電流です。これはプラス端子から出ていく放電電流のことではありません。充電中にも電流はコンデンサの外へ流れ出しています。
コンデンサへ電流が流れ込んでいる瞬間、同時に同量の電流がマイナス端子から出ていくのです。これはどんな状況でも当てはまります。
つまり、コンデンサ上流の影響だけではなく、下流への影響も考えておく必要があると言うことになります。 特に電源ライン上の大容量コンデンサは、電源起動時に大電流が貫通しGNDへ流れます。 これによりGND浮きが発生し、誤作動の原因になる事もあります。
コンデンサに関しましては、別にまとめた物がありますので参考にして下さい。

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