電圧原/電流源の内部抵抗の説明に何の意味があるのでしょうか

<はじめに>
 電圧源(定電圧源)、電流源(定電流源)の説明に、内部抵抗を重視する方たちがおられます。教科書にも書いてあるので、ある意味仕方ないとは思います。
しかし、内部抵抗がポイントである みたいな説明はちょっと違うのではと思います。


<誰に向けた説明なのか>
 色々な電気関係の資料を見て思うのは、ほぼ学術的な視点で書いてあると言う事です。 
恐らく電気学会の様な所で作成したバイブル的な物を基本に、教科書、参考書ができている事が原因だと想像します。 どの本(或いは規格)がバイブルなのかは知りませんが、理想電源を言葉と同時に回路で表していて、そこに内部抵抗の説明があると想像します。

彼らは恐らく、誰かに親切に教えようと思って書いたのではなく、普遍的な説明になるよう書き記しただけに違いありません。それを教科書で説明してるのですから、それは電圧源/電流源とは何かを説明しているのではなく、電圧源/電流源は権威者によってこう説明されています
 と言ってるに過ぎません。これはもはや定義のような扱いになってしまい、定義に基づいて説かなければ正い説明とは言えない感すらあります。

しかし、この理解しずらいものをあえて説明の中心にする意味があるのでしょうか?

定義なら仕方ありませんが、これは説明であって定義ではありません。
この説明を真に受けた人が電流源の設計を任された時に、「さて並列に無限大の抵抗入れなくてはいけないな。なんせそこがポイントなんだからな。」なんて笑い話になりそうです。


<内部抵抗の説明に意味がない理由> 
 電圧源だろうが電流源だろうが、更に言えば、負荷であろうが、直列抵抗は0で、並列抵抗は無限大が理想に決まってます。

念の為に内部抵抗の説明で何を言っているのか簡単に書きますと、
は、負荷(抵抗)が変動しても出力電が変動せず、設定した電圧を維持できる電源。
は、負荷(抵抗)が変動しても出力電が変動せず、設定した電流を維持できる電源。

これを無理やり回路で表現すると
 電圧源:内部抵抗0→内部抵抗と負荷との分圧が出力電圧になるので、負荷抵抗が変動して
      も分圧電圧が変動しないほどの低抵抗にすべし(理想は0Ω)。
 電流源:内部抵抗∞→出力電流を内部抵抗と負荷抵抗で分け合う構造になるので、分流比で
      負荷抵抗の変動があっても内部抵抗側に取られて負荷側に流れる電流が減らない
      様にすべし(理想は∞Ω)。

つまり、
電圧源は、出力した内部電圧(⭐︎)が全て負荷に行くようにする。
(=下左図の⭐︎の電圧が負荷の⭐︎とが同じになる様にする)。
電流源は出力した内部電流(⭐︎)が全て負荷に行くようにする。
(=下右図の⭐︎の電流が負荷の⭐︎同じになる様にする)。 
その条件がそれぞれ0Ω 、∞Ωと言うだけです。
電圧源の場合、負荷抵抗が大きい時は内部抵抗の影響をほぼ受けませんが、負荷が内部抵抗に近いオーダーまで低くなると影響が出始めます(=設定電圧より低い電圧になる可能性がある)。
また、電流源の場合はその逆で、負荷抵抗が低い場合は内部抵抗の影響を受けませんが、負荷が高くなり内部抵抗に近いオーダーになると、影響が出始めます(=設定電流より低い電流が流れる可能性がある)。

しかし、これは理論上の話であり、実際に電源内の内部抵抗やらが何か影響しているのかといえばそんな事はありません。 なぜなら電源の出口で電圧値(電流値)をモニタし、それを大元の発生源にフィードバックしているからです。
電圧源の内部抵抗が高ければ、そこでドロップした分を補正して出力しますし、電流源も内部抵抗へ流れ込んでいる分がもしあるのなら、その分を補正して出力するだけです。

お分かりのように、内部抵抗の考え方は単なる理論のお遊びにすぎず、現実とは違いますので混乱を招くだけです。
本来は、現実の電源の手段、即ち電圧/電流値をモニターし、それをフィードバックして定電圧/定電流を出す仕組み を説明した方が、理解しやすいですし混乱せずにすみます。
電圧源/電流源についてはこちらも見てください(電流源とは何か)。

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